暁斎の下絵



 妻は国芳の猫が好きであるといい、私は芳年や暁斎のおどろおどろが好きという。いずれにせよ系譜はどこかでつながってくる。9歳の頃の陳之がお茶の水で拾ったという美女の生首を大事に包み込み、今で言えば国芳のスタジオに持ち込んで写生を始めたら一門集まって、「ほう、念入りに写してるな」と。そのうち、美女の鼻の穴から這い出た泥鰌にビックら。驚くなら生首だと思うが、そこが江戸の人、というより芳桐連。通りかかった孫三郎、「おう、写し撮ったら、ちゃんともとのとこへ戻しときな!」と。まあ、多分に小説類の写しですが。
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 話は暁斎のこと。若い頃、もっぱらアグリッパしかデッサンしなかった私なんぞと比べるには恥ずかしいほど、なんと膨大な下絵・習作を残しているのかと。

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 暁斎に限らず、多くの日本の画家が名前も知られていないことがある。そして中でも大衆の慰めともなった浮世絵師たち、市井の画家たちの評価はなお低い。北斎、歌麿、写楽とメジャーになった絵描きのほかにも、数多くの駄菓子やの袋絵を描き続けた者たちもいる。決して粗末な仕事をしていたわけではない。茶箱に貼られて海を渡った異国で評価されるのではなく、自分たちの生きているところでと思うが。
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[ 2012/10/11 07:37 ] エ、絵 | TB(0) | CM(0)

秋なれば閑居老



 雨が続くので、古い画集を持ち出して開く。年をとってもぺージを開く手が止まるのは、ルノワールやアングルの、綺麗なお姐さん達の素敵な絵。困ったついでに片っ端からあさりついでに蛤。落とし話じゃないからやめておこう。
 秋なのに「夏の夜」。お姉さんたち、暑苦しいのか美しい裸体でいる。人間も事物も、デッサンしっかりしていると思うんだけれどロイヤル・アカデミー落選。一所懸命頑張っても、なぜか報われぬ芸術家も多数。時に合わぬのか。そろそろ印象派からキュビズムへの足音。綺麗なお姉さんを綺麗に描いただけじゃ、美の世界は入り口を開けてはくれなかったのか?ケチねえ!

 ムーア  夏の夜   1890年  カンヴァス   油彩  129.5㎝×224.8㎝
[ 2012/10/04 12:52 ] エ、絵 | TB(0) | CM(0)